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スウェーデン卓球最強の秘密 [練習法]

イエンス・フェリッカ グレン・オースト 共著

TSPトピックス編集の貴重な本。
ツンストロム監督当時、ワルドナーやパーソン全盛期のスウェーデン卓球の考え方を書いてある。
7分半毎に攻守を交代する練習時間や当時ファルケンベリをよばれたフットワークなどが一世を風靡した。
このファルケンベリがこの本でははやぶさフットワークとして紹介されている。送り手はバック側に2本、フォア側に1本送る。受け手はバックハンド、回りこんでフォア、とびついてフォアの順番でフットワークを行い、2,3回続いたら、あとはフリーにするというものだった。
少し余談になるが、このフットワーク練習についてもう少し書いておきたい。
この本が出された頃、松富さんのクラブではマシンを使って、2本1本で回すのではなく、2本2本で練習をされていた。マシンに入る順番にも気を使っておられて、基本的に上手い者から4,5人組で打たせられていた。次の子は、前の子が動くフットワーク(足元)を見ながら、ボールを使わないフットワークをするのだが、この順番にさえ気を使って、効率的な練習を組み立てておられるのに大変感動したことを覚えている。なお、松富さんには直接聞き損ねたのだが、2本2本だと、左利きでもマシンで同じパターンで出し続けられることや、初心者には回り込みを省いて、バック側はバックで、フォア側はフォアで打たせられていた。それに加えて、フォア側をフォア側に回り込んでバックハンドで回り込む練習もされていたのも印象に残っている。これらのことを考えて2本2本にされていたのだろうな、と勝手に考えていた。
しばらくして、青森山田の練習を見学させていただいた時には、吉田先生がこの2本2本をされていた。なぜスウェーデンの2本1本でなくて2本2本だったかというと、フォアが大切なので数を増やしているというような話だったと思う。
いずれにしろ、どちらが先にしたとかではなくて、それぞれ独自にファルケンベリを変形した2本2本の練習をされていたのは、優れた指導者の考えには何かしら共通のものがあるときがあるのだ、と実感したものであった。
また、グリップについても印象が深く、フォアハンドグリップとバックハンドグリップの特徴と長所、短所が書いてあったのをよく覚えている。なお、このフォアハンドグリップ、バックハンドグリップという言葉自体も、この本で知ったような気がする。

以下、目次をあげておきたい。
1.男子卓球の世界の流れとスウェーデンの発展
2.スウェーデンナショナルチームの技術練習
3.卓球における戦術
4.体力トレーニング
5.スウェーデンナショナルチームの自信
6.ダブルス
7.バックハンド技術
付 スウェーデン卓球王国の興亡(荻村伊智朗)

なおこの付で、荻村さんは「スウェーデン卓球の没落」と題して、考えられる没落の原因を書いておられる。この2番目で「30歳を越えた選手の練習量や練習ぶりを、10代や20代前半の選手が「あれが卓球の練習だ。あれで世界に勝てるのだ」と信じたとき」ということを書いている。実際にあたっているのかどうかは知らないが、スウェーデン卓球の全盛期と思える1991年に書かれたこの本に、没落という言葉を使って予想しているのは、さすがに荻村さんはすごいなと感じた。

卓球王国 [雑誌]

卓球王国が発売されたときには、とにかく買いまくった。
書店売りの卓球雑誌は、私にとってははじめての経験で、この雑誌をつぶしてはならないとの思いから、書店にある都度に買っていた。号によっては5冊くらい買った本もあるのではないだろうか。人に貸したりあげたりしたものもあるが、今でも初期のものは数冊ある号も少なくない。

「TSPトピックス」が好きで、卓球ショップにおいてあるときにはいつも買っていた。変な表現だが、なんかほんとに卓球を好きな人が作っている雑誌と言う印象があって、おもしろかった。技術を見たければ、「卓球レポート」。ちょっとファンの心理をくすぐるのが、「TSPトピックス」、記録が細かくのっているのが、「ニッタクニュス」というイメージだった。
雑誌と言えるかわからないが「日本の千人」という日本卓球協会の企画があって、申し込むと時々冊子が送ってきていた。いつのまにか来なくなったが、どうしたのか自分でも覚えていない。
しかし、いずれも一般的な書店で手に入れることはできなかった。そこへ卓球王国が創刊になるということで、「やっていけるのか」という不安を解消するために、(私が不安になる必要などまったくなかったのだが)少しでも協力しようとして買っていたのが冒頭の状況になるわけだ。もっとも、今考えれば、卓球の愛好者がその地域で、ふと卓球王国を手にする機会をすべて奪っていたのかもしれない。しかし、当時はよかれと思ってやっていたこと。出版社の方、卓球ファンの方、ごめんなさい。

卓球王国の副産物として、卓球レポートが大型になりページも増えたことも書いておきたい。卓球レポートは、それまでもとても良心的な値段で内容の質もよかったのだが、競争によって、さらによいものとなった。卓球王国さんにも卓球レポートさんにも頭がさがる。

創刊号は福原愛さんがラケットをもってかわいく写っている。まだ、乳歯が抜けた時期だったのか、前歯が欠けている。月刊スキーグラフィックの別冊としてでているようで、680円。1997年だから13年前か。松下浩二さんのインタビューがあったり、アニマル浜口さん、井岡弘樹さんの記事があったり・・・。全日本では岩崎さん、小山さんが優勝。超練習法という連載では、倉嶋さんがモデルになっている。高島さんの戦術、遊沢さんのサービス、岡沢さんのメンタル、ルールの話から、動体視力の話まで、誠にあっぱれ!という充実内容である。福原さんの記事では、選手時代の松下雄二さんが写っている写真があり、協和発酵の記事には「マメマメ大王」とそのまめさが書かれている。



チャンピオンを目指す卓球 [指導法]

倉木常夫、湊勉、吉田和人、榊原浩晃著

小中高校の指導者の方々の指導法が具体的に書いてあり、大変おもしろくためになる。

特に「練習場がなく廊下で練習するとクロスが打てないので、台を斜めにおいた」というような話を書いておられた大橋先生の文章など、環境が似たような者にとっては、「そうだそうだ」と実感できることも多く、とても勇気づけられた。
公立の中学や高校で指導をしておられる方々にとっては、物理的にも時間的にも、また精神的にも厳しい環境の中で、工夫して強いチームを作られた指導者の方々の言葉は、とても感銘を受けるものではないだろうか。

以下、その指導者の方々のお名前をあげておく。
大島俊之助 栃木 大島TTS
両沢正子 東京 梅島クラブ
深谷秀三 福島 富久山卓球クラブ
山口敏 徳島 富田中学校
大橋広巳 愛知 東陵中学校
浜田美穂 高知 土佐女子中学校・高等学校
瀬木明 神奈川 野庭高等学校
井上雅晴 静岡 日本大学三島等学校
三輪了 愛知 中京商業高等学校
丸田哲生 宮崎 宮崎工業高等学校
近藤欽司 神奈川 白鳳女子高等学校
吉田廣光 青森 東奥女子高等学校

現在なら、どのような指導者の方のお名前が並ぶのだろうか。

個人的には
クラブでは城山ひのくにの松下先生、石田卓球の石田先生、本野町卓球の松富先生
中学では上磯の大橋先生、明徳の佐藤先生、中部東中の丸田先生
高校では青森山田の吉田先生、大岡先生、慶誠の高木先生
また、明治の平岡先生
などの話をうかがってみたいものだ。

なお、その後、チャンピオンの練習と称して、関正子さん、小和田敏子さん、五藤ひで男さん、星野一朗さん、水村治男さん、周愛光さんなどの経験談が載っている。
最後には理論編でしめてあるが、個人的には指導者の話が一番おもしろかった。

闘将 [吉田安夫]

「闘将」吉田安夫

青森山田の吉田先生の本。
今回、闘将を読み直して、「他の人はどんな感想をもったのだろう」とamazonを検索してみた。すると、なんと新品は売り切れており、入手できなくなっているではないか。ショックを受けた私は、なんかあせって、何か残しておかなければ、と妙な使命感を感じ、このブログを立ち上げた。

他競技もあわせて、同じ高校スポーツ界の指導者で、インターハイ、国体、選抜をあわせて100回以上の優勝など、ありえない記録である。空前絶後。他競技も含めて、吉田先生の記録を追い越せる人はもう二度と現れないことだろう。
吉田先生ももう78歳。吉田先生のノウハウをなんらかの形で残してほしい。そんな気持ちで、今回この本を読み直した。そして、感想。

この本を買った人の大部分は「常勝青森山田」の秘密を知りたくて買ったのではないか。強いチームを作ろうと思って、この本を買った人は多いに違いない。ところが、この本には強くなる秘訣はまったくと言っていいほど載っていない。あっても精神的なことだけ。この本を読んでも、吉田先生の選手の育て方の具体的なことは何もわからないだろう。ひたすら吉田先生の記憶にそって(吉田先生の記憶はすごいらしい)淡々と、熊商、深谷、山田での歴史が書いてある。特に、固有名詞の多さはびっくりするほどだ。

いつか、岩崎さんが「自分は全日本で優勝したので、どんなことが書いてあるのかなあと楽しみにして読んでみた。すると、自分のことはあっという間に終わっていた」と冗談交じりに言っておられた。実際、ほんとにそんな感じ。特別なことは何にも書いてない。そんな本である。

表紙がひどい。吉田先生の頭に炎の王冠をかぶらせ、何を考えてこの表紙を作ったのかあきれてしまった。以前、「ザ卓球」という催しがあって、そのビデオを見たことがある。ワルドナー(あれ?パーソンだったかな?)とユーナムキュ(だったような・・・)に宇宙人の服みたいなのを着せて試合をさせていた。見世物としか見えないようなその催しを卓球界の人たちはこぞってほめたたえており、そのセンスにゾッとしたのを覚えている。その催しをほめちぎるコメントのひとつひとつに、「え?大丈夫?」と感じた。まさにあの感覚の表紙である。

以前、青森山田の練習を見学させていただいたことがある。三田村くんたちが1年生で衝撃のインターハイ優勝を飾って半年後くらいだったと思う。練習開始前にみんなで練習場のそうじをするのだが、今をとくめく(というイメージの)三田村くんたちが、そろって雑巾がけをするのである(なぜか宋くんだけは特別扱い(?)で雑巾をしていなかった)。そうじが終わるとみんなで台を並べるのだが、横からキャプテンの田勢くんが指示をして、それこそ1mmもずれないような感じできちんと並べていた。
吉田先生の練習はきっとぴりぴりした雰囲気なのだろうと思っていた。ところが、(もちろん緊張感はすごかったが)みんな楽しそうに、しかも真剣に練習していた。いいボールが入るとみんなでほめあう。今までいくつかの場所でいろいろな練習を見せていただいたが、未だにあの山田の練習を超える練習を見たことがない。昇り竜の勢いというのか、ほんとうにいい練習をしていた。
で、吉田先生は何をしていたか、といえば、ひたすら台の間を回って、声をかけ続けておれた。片時も休むことなく動き続けて、練習の間、まったく腰をおろすこともない。ひたすらぐるぐると回っておられる。ひまがあると、モップを持ち出して、床のそうじをされる。ほんとうにまったく休まれることがなかった。
ところが、そんな練習の雰囲気を感じさせる内容はこの本にはまったく載っていない。
吉田先生は卓球界の宝である。なんとか、吉田先生の指導のすべてをビデオや本にとどめておくことはできないものか。そんな想いをもちながら、この本を読んだ。

8章に「忘れ得えぬ人々」という項目があった。これまた、特別なことが書いてあるわけではないのだが、吉田先生がいろいろな方々に感謝しておられることがよくわかる文章だった。吉田先生ならではと感じた。

ところが、同じ本を読んでも、読み方が違う人がいた。名前はわからない。今回、インターネットでこの「闘将」の感想を探していたら、あるおもしろいブログを見つけた。「卓球で強くなりたい」http://takuron.sblo.jp/category/862834-1.htmlというブログで、たどたどしい日本語だったが、私よりしっかりこの本を(吉田先生の気持ちを)読み取った文章だった。

今、とにかく、少しでも多く、吉田先生のノウハウを残しておきたい。そんな想いでいっぱいである。そんな想いでこの文章を書いた。


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